ぱずるなかうんたぁ対談
vs たなかさん
〜初級編・正解の確率論(後編)〜

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あずさ猫: いつも「ぱずるなかうんたぁ」で遊んでいただいてありがとうございます。
今日も前回に引き続きまして、常連のお客様で、元数学屋(※1)のたなかさんに
お越しいただき、お話を聞かせていただこうと思います。(※2)
あずさ猫: 前回はどうもありがとうございました。たいへん好評をいただいているようです。
たなかさん: ありがとうございます。
あずさ猫: 本日はどういったテーマでお話いただけるのでしょう?
たなかさん: 前回は一発正解率について考えましたが、今回は2手目以降の正解率について考えてみたいと思います。
あずさ猫: 一発以外の正解率ということですね。

*          *          *          *          *

たなかさん: まず、一発正解のときと違うのは、一手前の挑戦者の情報を使うことができます。
一手前の挑戦者の情報が信用できないと計算が進まないので、 一手前の挑戦者たちは十分に賢い人だとしておきます。
言い換えると、赤や白の帽子をかぶっている人と同種の人だということです。 (※3)
あずさ猫: あるいは正直村や嘘つき村の住人と同種の人ということですね? (※3)
たなかさん: もちろん嘘をつかれると困りますが(笑)。今回のテーマは、
「今の表示が、で、
一手前の挑戦者が8と答えている場合、
どう答えるのが得策か」

ということです。このような場合、普通はどう答えますか?
あずさ猫: 0,2,3,7,8,9のどれかですよね。
一手前の挑戦者が8と同じパターンで見えていたということは2や7ではないですね。
しかも8と答えてはずれているということは9ではないですね。
そういえば、前々回さゆりさんが0や3は避けたほうが良いとおっしゃってました。
たなかさん: そうでしたね。
そうすると、0,3,8の3個の中から適当に選ぶか、
あるいは0と3を抜かして8を選ぶかどちらかということになりますね。
あずさ猫: そうですね。
たなかさん: とりあえず、普通の人は0,3,8の3通りの中からそれぞれ確率1/3で選ぶものとしましょう。
同じように、他の場合の選び方も以下のようになっているとしましょう。
後の議論に必要になるので、1手目の場合も表に含めておきます。

   【等確率での選び方】
表示 一手前の挑戦者の答え 正解の候補 選び方
00,3,8,9それぞれ1/4
15必ず5を選ぶ
20,8,9それぞれ1/3
30,3,8,9それぞれ1/4
42必ず2を選ぶ
57必ず7を選ぶ
66必ず6を選ぶ
70,3,9それぞれ1/3
80,3,8それぞれ1/3
93,8,9それぞれ1/3
(1手目)0,2,3,7,8,9それぞれ1/6
04必ず4を選ぶ
11,4 それぞれ1/2(★)
21,4それぞれ1/2
31必ず1を選ぶ
41,4 それぞれ1/2(★)
51,4 それぞれ1/2(★)
61,4 それぞれ1/2(★)
71,4それぞれ1/2
81,4それぞれ1/2
91,4それぞれ1/2
(1手目)1,4それぞれ1/2
05,6 それぞれ1/2(★)
15必ず5を選ぶ
25,6 それぞれ1/2(★)
35,6 それぞれ1/2(★)
46 必ず6を選ぶ(★)
55 必ず5を選ぶ(★)
66必ず6を選ぶ
75,6 それぞれ1/2(★)
85,6 それぞれ1/2(★)
95,6 それぞれ1/2(★)
(1手目)5,6それぞれ1/2

基本的に可能性のある数字を等確率で出しているという表です。
グレーで★印をつけたものは、一手前の挑戦者が正しく答えているという前提ではありえないパターンです。 一応、表には載せておきましたが、無視してもらって構いません。

あずさ猫: 多少の偏りはあると思いますが、大体この表のような選び方をしてる人が多いでしょうね。 前々回のさゆりさんとの対談の影響で0や3を選ぶ人は減っているかもしれませんが・・・
たなかさん: 2手目以降にどのような分布になるかを考えたいのですが、まず2手目に が出ているときの状況を分析してみたいと思います。
これは0,2,3,7,8,9の場合が考えられますが、それぞれ1手目は9,1,2,6,7,8だったはずです。
あずさ猫: そうですね。
たなかさん: まず【(1手目時点での正解)9→(2手目時点での正解)0】となる場合を考えてみます。
1手目に9が出る確率は1/10のはずです。もちろん、0〜9が等確率で出ることが前提ですが、 まさか、そこが偏っていたりしませんよね?
あずさ猫: それは企業秘密です。
たなかさん: ま、まぁ、とりあえず等確率として話を進めましょう。
1手目の挑戦者は、先ほどの表より0,2,3,7,8,9のどれかを1/6の確率で選びます。 つまり、「1手目の正解が9で、1手目の挑戦者が0,2,3,7,8,9と解答する確率」は、 それぞれ1/60(=1/10*1/6)ということになります。
9を選んだ場合は一発正解となりますが、それ以外の場合は不正解で2手目に移ります。

ではこの現象を 2手目の挑戦者からみたらどうなるでしょうか。
2手目の挑戦者がわかることは、その時のかうんたぁのデジタル表示と、一手前の挑戦者の答えだけですが、 そのときの正解の確率を一手前の挑戦者の答えごとにまとめたのが下の表です。

【2手目の挑戦者の視点と正解の確率】
表示正解
(一手前)
一手前(=1手目)の挑戦者の答え
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 (9) 1/60 0 1/60 1/60 0 0 0 1/60 1/60 0
2 (1) 0 0 0 0 1/20 0 0 0 0 0
3 (2) 1/60 0 0 1/60 0 0 0 1/60 1/60 1/60
7 (6) 0 0 0 0 0 1/20 0 0 0 0
8 (7) 1/60 0 1/60 1/60 0 0 0 0 1/60 1/60
9 (8) 1/60 0 1/60 1/60 0 0 0 1/60 0 1/60
表示正解
(一手前)
一手前(=1手目)の挑戦者の答え
0 1 2 3 45 6 7 8 9
1 (0) 0 0 1/60 1/60 0 0 0 1/60 1/60 1/60
4 (3) 1/60 0 1/60 0 0 0 0 1/60 1/60 1/60
表示正解
(一手前)
一手前(=1手目)の挑戦者の答え
0 1 23 45 6 7 89
5 (4) 0 1/20 0 0 0 0 0 0 0 0
6 (5) 0 0 0 0 0 0 1/20 0 0 0

もっともこの表は、2手目の挑戦者の視点に立ってまとめてはいますが、 1手目で一発正解となり2手目にまわってこない場合も考慮してあります。
よって、確率の合計は1にはなりません。
(ちなみに合計は7/10となり、これに前編で求めた一発正解率を足し合わせると1になります。)

あずさ猫: この表を縦に見ると、たとえば1手目の挑戦者が7と答えていた場合は、 正解が0か3か9である確率がそれぞれ1/60ということですよね?
つまり、0と答えても3と答えても9と答えても当たる確率は変わらないということですね?
たなかさん: その通りです。等確率であまり面白くありませんね。
しかしこれは、あくまでも2手目の挑戦時での分布です。
3手目の挑戦者の視点に立った表も作ってみることにしましょう。

【3手目の挑戦者の視点と正解の確率】
表示正解
(一手前)
一手前(=2手目)の挑戦者の答え
0 1 2 3 4 5 67 8 9
0 (9) 7/360 0 0 7/360 0 0 0 0 7/360 0
2 (1) 0 0 0 0 1/30 0 0 0 0 0
3 (2) 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
7 (6) 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
8 (7) 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
9 (8) 7/360 0 0 7/360 0 0 0 0 0 7/360
表示正解
(一手前)
一手前(=2手目)の挑戦者の答え
0 1 2 3 45 67 8 9
1 (0) 0 0 0 7/360 0 0 0 0 7/360 7/360
4 (3) 7/360 0 0 0 0 0 0 0 7/360 7/360
表示正解
(一手前)
一手前(=2手目)の挑戦者の答え
0 1 23 45 67 89
5 (4) 0 1/30 0 0 0 0 0 0 0 0
6 (5) 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

あずさ猫: 一手前(=2手目)の挑戦者が2,5,6,7と答えたときの欄が全部0になっているみたいですけど、どういうことですか?
たなかさん: それは2手目の表の正解が2,5,6,7となっているところを見るとわかります。
つまり、これらを答えるのはその一手前の人、つまり1手目の人が1,4,5,6と答えたときですが、 この場合は前々回のさゆりさんとの対談でのお話しのように、必ず正解してしまうので3手目に回ってこないわけです。
あずさ猫: なるほど、それで3手目の欄が全部0になっているんですね。 ・・・よく見ると正解が3,6,7,8のところも全部0ですね。
たなかさん: そうですね。これも先ほどと同じように、2手目に2,5,6,7だと全部正解されてしまうので、 3手目が3,6,7,8になるということはないということです。

*          *          *          *          *

たなかさん: 計算は面倒ですが、さらに計算を進めていくことができます。
この計算、何手目までやる必要があると思います?
あずさ猫: 前々回のさゆりさんの対談の内容から考えると、2手目以降で正解が2,5,6,7のときは必ず正解できますから、 7→8→9→0→1→2で最大6手で必ず正解できるんじゃないですか?
たなかさん: その通りです。したがってこの計算は6手目までやれば良いことがわかります。
実際に計算した結果は[こちら]にあります。
ですが、実際にこの表を使うのは難しいですよね?
あずさ猫: それはつまり、
「自分がいま何手目の挑戦者であるかはわからない」
ということですよね?
たなかさん: そうです。
常に監視している人なら別ですが、1手目以外は何手目でも見た目上区別がつきません。
ですから、2手目以降の結果は2手目以降を全て通算してまとめることにします。
あずさ猫: そうすると、一手前の挑戦者が何か答えていたときの分布になるということですね?
たなかさん: そういうことになります。
さらに今までは手数目毎の出題に対してその状態になる確率を求めていましたが、いま興味があるのは、 たとえば、一手前の挑戦者が8と答えていて、今の表示がのときに どう答えるのが得策かということでした。
前出の 2手目の挑戦者の視点から6手目の挑戦者の視点までの表を「現在表示されている状態」と 「一手前の挑戦者の答え」ごとにまとめ、それぞれを100%として条件付確率に換算してみることにします。
そのように計算してみたものがこちらにございます。

【1手目以外の挑戦者の視点と正解の確率(百分率)】
表示正解
(一手前)
一手前の挑戦者の答え
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 (9) 39.8% 0.0% 33.3% 43.0% 0.0% 0.0% 0.0% 33.3% 61.1% 0.0%
2 (1) 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 100.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%
3 (2) 14.5% 0.0% 0.0% 13.7% 0.0% 0.0% 0.0% 33.3% 19.5% 24.0%
7 (6) 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 100.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%
8 (7) 14.5% 0.0% 33.3% 13.7% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 19.5% 14.0%
9 (8) 31.3% 0.0% 33.3% 29.7% 0.0% 0.0% 0.0% 33.3% 0.0% 52.0%
表示正解
(一手前)
一手前の挑戦者の答え
0 1 2 3 45 6 7 8 9
1 (0) 0.0% 0.0% 50.0% 100.0% 0.0% 0.0% 0.0% 50.0% 64.0% 59.2%
4 (3) 100.0% 0.0% 50.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 50.0% 36.0% 40.8%
表示正解
(一手前)
一手前の挑戦者の答え
0 1 23 45 6 7 89
5 (4) 0.0% 100.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%
6 (5) 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 100.0% 0.0% 0.0% 0.0%

あずさ猫: 料理番組のようにあっさりと出てきましたね・・・(笑)
この表はどう見るんですか?
たなかさん: たとえば、
表示がで、 一手前の挑戦者が8と答えていたとき、
 正解が0である確率が61.1%
 正解が3である確率が19.5%
 正解が8である確率が19.5%

だということです。
あずさ猫: 0と答えた方が圧倒的に有利じゃないですかっ。
たなかさん: その通りです。
等確率で答えた場合は33.3%の正解率にしかなりませんが、 このパターンでは0と解答すれば61.1%の正解率になるわけです。
その差は歴然としていますね。
この表からは他にもいろいろなことが読み取れるはずです。
あずさ猫: 1と4で悩んだときは、1と答えた時の方が正解率が高い場合もあるんですね・・・
主なところをまとめてみるとこんな感じでしょうか。

・ で一手前が0,3,8,9なら0や9と答えるのが有利
    (ただし、一手前が8なら9ではない。一手前が9なら0ではない。)

・ で一手前が8か9なら1と答えるのが有利
たなかさん: どうしてそうなったのかはよ〜く考えてみるとわかると思いますので宿題にしましょう。
ただしこの結果は解答者が全員 最初の表のように答えるという前提 の表です。
あずさ猫: この対談を読んだ方々が、この表を参考に0や1や9に偏って答えるようになると 結果がまた変わってくるということですね?
たなかさん: そういうことです。そうするとどうなるのかは敢えてお話しないでおくことにしましょう。
あずさ猫: ところで、たなかさん。
前々回にさゆりさんから適当に選ぶときは0や3を選ぶなと教わったんですが・・
たなかさん: 今回の結果は純粋に正解率を上げるためにはむしろ0や9を選んだほうが有利だということを物語っています。
一方で次の人の手がかりを減らすためには、0や3をはずしたほうが良いという考え方もできます。
何を重視するかで戦略が変わってくるということです。
あずさ猫: たいへん貴重なお話をありがとうございました。

*          *          *          *          *

(※1) 2004年2月現在
(※2) この対談はフィクションです。
たなかさんからいただいた確率についてのメールをもとに対談風にまとめました。
(※3) 有名な古典パズルの登場人物。